- 消費者心理学と広告の関係が学べる
- AIを用いた広告の簡単な作成方法が学べる
今の時代広告ってどこにでもありますよね。電車での交通広告に、テレビコマーシャルやインターネット上のバナー広告。私たちの生活の中には日々広告がありふれています。そんな広告ですが、実はAIが作っている広告(通称AI広告)もあるってご存知でしたか?本記事ではまず広告と心理学の関係を解説し、次にどのようにAIを広告に用いることができるか調査していきます。
普段からよく広告を見ている私たちですが、時々非常に興味を惹かれる広告を目にすることはありませんか?私たちの購買心理を掻き立てる広告というのは一流の広告プランナーや広告会社によって作られることもありますが実はそれAIが作っている広告かもしれません。そして近年AI広告を活用する企業も少なくありません。
AIはユーザーの行動履歴や属性情報を分析することでより関連性の高い広告を配信することができます。これにより、広告の効果を高めることが可能です。そこで生成AIを使って購買心理を高め集客に繋がる広告作成の可能性と課題点について考えます。
企業にとって広告の重要性
広告は企業にとって非常に重要です。広告により企業はブランド認知度を高め、新しい顧客を引きつける手段となります。そして広告にこだわることでターゲット市場に対して企業の製品やサービスを効果的に宣伝し、競争の激しい市場での差別化を図ることができます。
また、広告は顧客との関係構築にも寄与します。定期的な広告活動を通じて、企業は顧客との信頼関係を築き、長期的な取引関係を結ぶことができます。その結果広告により売上の向上に直結するようになるのです。
適切な手法とタイミングを駆使することで広告は顧客や消費者の購買意欲を刺激し、売上向上や集客を見込めます。広告は単なるコストではなく、成長のための投資ともいえる重要な役割をもっているのです。
消費者を惹きつける広告とは
広告を作成しても当然見てくれる人がいなければ集客にはつながりません。それに一度広告を見て「いいな」と思っても商品の名前を覚えてもらわなければ広告効果というものは薄れてしまいます。そのためターゲットのニーズや興味に応じたメッセージを発信することや消費者の関心を引き出し、行動(購買)を起こさせるといった戦略的な広告作成が求められます。
心理学を活用してみる
まず、広告作成にあたってはじめに意識することは消費者に製品名や名前を覚えてもらえるように工夫することから始めましょう。そこで心理学的な観点から人間の記憶モデルに即した方法を解説します。人間の記憶のマルチストアモデルを以下図式化しました。
┌───────────────┐
│ 感覚記憶 │主に視覚、聴覚。ほとんどの情報を覚えやすいが、瞬時に忘れる状態
└───────────────┘
↓選択的注意
┌───────────────┐
│ 短期記憶 │選択的注意を向けた情報だけが転送される。記憶時間は「7±2チャンク」であり記憶容量は小さい。
└───────────────┘
想起↑↓転送
┌───────────────┐
│ 長期記憶 │記憶容量は無制限。処理水準の高い情報が保持され記憶として残りやすい。
└───────────────┘
広告を消費者の記憶に残し、購買を促進するには、この記憶を感覚記憶から長期記憶へと転送され、短期記憶へ想起(リハーサル)されるような手法を取り入れて作成しなければなりません。そこで以下のことを意識してみましょう。
消費者の目につくようにする
単純接触効果とは、特定の対象(広告)に繰り返し接触することで、その対象(広告)に対する好感度や評価、記憶が高まるという心理効果です。私たちも初対面の人にはあまり好感を感じませんよね。しかし何度も会っていくうちに関係性が高まり、その人に対する好感度が増していき記憶に残りやすくなったりしますよね。
この効果は広告やマーケティングにおいても非常に有効であり、有益な情報や覚えやすい語呂などを広告に活用することで消費者の記憶の中で再認や再生を促し、ブランド認知や購買意欲を高めることができます。
維持リハーサルと精緻化リハーサルを繰り返すようにする
心理学の概念である維持リハーサルと精緻化リハーサルを効果的に活用することも大切です。維持リハーサルと精緻化リハーサルを繰り返すことで記憶に対する処理水準が高まり、情報は短期記憶から長期記憶へと転送されやすくなります。そのためそれぞれのリハーサルが記憶に与える影響を理解し、広告に応用する方法を具体的に説明します。
維持リハーサル
維持リハーサルは、情報を短期記憶に保持するために、情報を単純に繰り返し想起させる方法です。この方法は、広告の中で同じメッセージやキャッチフレーズを何度も繰り返すことで、消費者の短期記憶に情報を定着させるのに役立ちます。
維持リハーサルでは反復的要素を用いて視覚や聴覚に焦点にあてることで情報を消費者の短期記憶へ維持し続けることができます。その結果消費者は商品の名前や企業名を自然と覚えるようになるのです。
精緻化リハーサル
精緻化リハーサルは、情報を既存の知識と関連付けたり、イメージを構成したりすることで、情報を深く処理し長期記憶に定着させる方法です。この方法は、広告の内容を消費者の生活や価値観に関連付けることで、より深く記憶に残すことができます。精緻化リハーサルでは主にストーリーテリングによる製品と消費者の感情的つながりを構築する手法や消費者の既存の知識や経験と関連付けることで情報をより深く理解させる関連付けという方法を活用することで消費者が広告を見た後でもその内容を思い出しやすくなり、広告の効果を高めます。
心理学を活用したAI広告作成
実際に広告作成AIを使って心理学を意識したSNS広告を作成してみることにします。今回はMicrosoft Desinerを使用します。
使用方法:
1.公式サイトにアクセス
2.デザインしたい内容を指定する
3.指示文や画像を入力※肖像権や著作権に注意
4.数パターンの画像が自動生成される
考察
左の広告は、異なる野菜スープのイラストがグリッド形式で配置されていますね。この配置により同じコンセプトの繰り返しを視覚的に提供することで、維持リハーサル手法が一応成り立っていますね、ですが、やや抽象的すぎる気はするのでもう少しメッセージ性を考える必要はありますね。
一方で中央の広告では、ハート型に配置された多様な野菜や果物が示されています。これは、スープ野菜が健康的な生活にどう関連しているかを深く考えさせる要素を持っており、視覚的な美しさと「健康」というキーワードが消費者に深い理解や感情的な結びつきを促進させるため、精緻化リハーサル手法を十分使用できているといえるでしょう。
右の広告は、複数の人々が楽しそうにスープを作っているシーンを描いています。これは、人間関係やコミュニティの温かさを視覚的に表現しており、この広告を何度も接触することで親近感や信頼感を増す単純接触効果が出やすそうですが何度も目にするにはやや視覚情報が多すぎな気はしますね。繰り返し目にすることで、スープを飲むという行動が楽しく健康的な生活の一部であるという印象が記憶として強化されるでしょう。
AI広告による課題点
AIを活用した広告作成において心理学を利用する際には、まだまだ課題や注意点があります。やはり消費者の心理的反応は各々の人間により違っており、AIは過去のデータに基づいて消費者の行動データを分析しているまでなので、心理的な反応を完全に予測することは難しく完全な自動化についてはまだまだ先のことになりそうです。
注意点としては著作権や法的リスクを考慮する必要があります。AIが生成したコンテンツをそのまま使用することは、著作権や法的問題を引き起こす可能性があるため、生成物の使用には慎重な検討が求められます。心理学の効果を最大限広告に反映しつつ、倫理的かつ法的に問題のない広告作成を目指すようにしましょう!