AIは我々のようにゲームをできるのか?

使ってみる

ゲーム上の人工知能(AI)は、ゲーム業界において革命的な変化をもたらしています。

AI技術の進化してAIがゲームの開発を行いプレイヤー体験は今までとは異なる形で進化しています。

この記事では、AIがゲームの世界にどのように影響を与えているのか、そして未来のゲームがどのように変わっていくのかを詳しく解説します!

ゲームで用いられた仮想プレイヤー(CPU)

オンライン対戦がない時代、一人で対戦ゲームを行うとき皆さんはコンピューター(COM)を用いて遊んでいたと思います。

編集者もWiiやDSのゲームでコンピュータと対戦していました。(笑) 

COMの歴史

コンピュータ(通称:Non Player Character)とはあらかじめゲームに組み込まれたルールやプログラムに従って動く仮想的なプレイヤーであり、主に格闘ゲームやレースゲームと言った対戦ゲームで使用されていました。

COM対戦の歴史を遡っていくと、古いものでスーパーファミコンの「ストリートファイターII」などから家庭用ゲーム機でCOM対戦は可能でありその歴史は長いです。

ストリートファイターIIのCOM対戦

COMの課題

しかし、COMの欠点として決められたプログラムに従って動くことしかできません。

そのため、プレイヤーが予想に反する行動を取ったり予想しない状況になったときにおかしな挙動をするいわゆるバグが起きるところがありました。

こうしたバグが起こらないために、ゲームを製作者はデバック作業を行い様々な状況を予想してCOMにどういった行動をするのかをプログラムする作業が必要です。

そのためゲームを作るのにもとても時間がかかりました。逆にこう言った作業に時間をかけなかったゲームは大量のバグが出てしまいました。

こうした問題が起きてしまう理由としてコンピュータはいわゆるプログラム内蔵方式を用いており記憶装置に内蔵される命令にのみ行動が制限されるところにありました。

メジャーパーフェクトクローザーでの有名なバグ このゲームはプログラマーが三人しかいなかったためこういったCPUのバグが大量に見つかった。

それぞれのゲームに用いられるAI

現代のゲームはAIと対戦ゲームができたり、AIがゲームの制作に携わったりできたりとAIの登場により昔と比べてとても進化しています!

そんなAIが用いられているゲームをこれから紹介していきます!

League of Legends

リーグオブレジェンド ー League of Legends

リーグ・オブ・レジェンド
リーグ・オブ・レジェンドはチームベースのストラテジーゲームで、140体以上のチャンピオンの中から使用するチャンピオンを選べます。今すぐ無料で始めましょう。

League of Legends(通称LoL)とは1億人以上のプレイヤーを抱える世界的に有名なオンライン対戦ゲームであり、5対5のチーム戦で戦略を駆使して勝利を目指す奥深いゲーム性が特徴です

世界中で多くのプレイヤーが楽しんでおり、eスポーツとしても世界的に注目されています。しかしLoLは14年の歴史があるゲームであり、チャンピオン数は160体以上、アイテムの数は200以上あります。そのため定石というものがたくさんあるため、事前知識がない状態でゲームに勝つことはとても難しいゲームです。

初心者が入門としてやるのがAI戦であり、AIと対戦をしてゲームに慣れてもらうといった目的で作られたゲームモードがあります。

AI戦の歴史

AI戦はLoLのはじまりから存在しており、2014年に既存AIのすべてのコードを書き直すまで、少々の手直しで動いていました。

コードを書き直しはしましたが、AIはトップレーンに行くチャンピオンが2体で、ジャングラーはいないと言ったおかしな挙動をすることが多々ありました。

新規ユーザーに定石を教えるためのAI戦のはずがAI自体がセオリーに外れた動きをきてしまっては本末転倒である。

そのためRiot Gamesは2023年に新規ユーザーの獲得のために、いままではチーム5体がそれぞれ独立的に動いてたAIをより戦術的に一つのチームとして動けるAIに、ユーザーが使うチャンピオンに対してどのチャンピオンを選択するかなどを考えられるようにAIのアップデートを発表しました。アップデートの内容としてAIの意志決定ロジックに新しいビヘイビアツリーシステムを開発しました。

 ビヘイビアツリーとはその時に取るべき行動を評価するための意志決定プロセスで、優先度が最大の行動が最初に実行すべきと評価される方式です。LoLのビヘイビアツリーの場合、戦闘、離脱、移動、ジャングル関連、アイテム購入、スキルのレベルアップなどのグループができるようになりました。

ビヘイビアツリーの例(引用:https://www.leagueoflegends.com/)

AIの学習について

公開されているAIのコードやどういった学習プロセスなどはないためこれ以上詳しいことは分からないがわたし統計サイトをもちいて学習をさせていると考えています。

LoLはlolalyticsop.ggといった全てのプレイヤーの試合結果を集めて、勝率の高い立ち回りを統計で出してくれるサイトがあります。

AIはこのような何億といった試合履歴を用いた統計サイトから学習をして、プレイヤーに近い動きを学習しているのだと編集者は考えています。

どのアイテムを積めば勝率が高いのかなど

どの時間帯に強いのか、マッチアップの勝率(引用:LoLAnalytics League of Legends Analytics • LoLalytics • Patch 14.16)

Minecraft

Minecraft(通称:マイクラ)は、プレイヤーが自分の想像力を駆使してブロックで構築したり、冒険したりすることができる人気のサンドボックスゲームです。

みなさんも遊んだことがあると思いますが2009年に登場以来、世界中で数億人のファンを魅了し続けています。マイクラではサバイバルやクリエイティブなど多様なモードが楽しめます。教育ツールとしても注目され、プログラミングやチームワークを学ぶ場としても利用されています。プレイヤーは自分の想像力を駆使して、無限の可能性を持つ世界を探索し、構築することができます。

そんなマイクラをプレイするAIについて紹介していきます!

Voyagerについて

Voyagerは、Minecraftというゲームの中で自律的に学習し、成長するAIエージェントです。このAIは、人間の手助けなしにゲームの世界を探検し、新しいスキルを身につけ、発見を行います。Voyagerは3つの重要な仕組みを持っています。

自動カリキュラム

ゲーム内での探索を最大限に活用するための計画を立てます。これにより、ゲーム内での進行を効率的に行い、テクノロジーツリーを段階的に開放していきます (マインクラフトであればエンダードラゴンを倒すやダイヤをフル装備にするなど)

スキルライブラリ

スキルを保存して、他のタスクを効率的に達成するために再利用されます。これにより、Voyagerは過去の経験を活かし、新しい環境や状況に迅速に適応することができます。

反復プロンプトメカニズム

目標を達成するためにGPT-4でプログラムを作成し、ゲーム環境からのフィードバックとエラーを基に、プログラムを改良します。この反復プロセスにより、Voyagerはスキルライブラリを構築し、成功したプログラムを優先し、さらに複雑なスキルを構築していきます。

GPT-4について当サイトで記事をまとめているのでぜひ見てください!

Stable Diffusion3の概要(精通者向け)

3つの仕組みをまとめたもの

Voyagerは、GPT-4というAI技術を使って、ゲームの中での行動を計画し、実行します。これにより、特別な調整をしなくても、効率的に新しいスキルを身につけることができます。

実際に、Voyagerは他のAIと比べて、3倍以上多くのアイテムを集め、2倍以上のワールド内を移動し、重要な目標を15倍速く達成することができます。

 また、新しいMinecraftの世界でも、すでに学んだスキルを使って新しい課題を解決することができるため、プレイ時間が長くなるほど柔軟に対応できるようになる。今まで紹介したCOMやAIと異なりVoyagerはゲームをやりながら学習をして効率の良い動きを身につけている。そのためAIはゲームをする人間のようなプロセスでゲームがうまくなっているのです。

ほかのAIとの比較

下のグラフは他のAIと比較したアイテム更新の進捗を表したグラフ(縦軸が作成したアイテム数、横軸がコード生成における反復のプロンプト)をみるとVoyagerのみが木から石、鉄、ダイヤと段階を踏んでダイヤ装備を作っているのが分かります。

Voyagerは以下の動画の様に、ぎこちなさはありますが複雑な動きもできることが分かります。

エンダーマンと戦う

拠点を作る

VoyagerのコードはGitHubで公開されています。まず、GitHub – MineDojo/Voyager: An Open-Ended Embodied Agent with Large Language Modelsにアクセスし、みなさんもVoyagerで遊んでみましょう!

(画像、動画の引用元: Voyager | An Open-Ended Embodied Agent with Large Language Models (minedojo.org) )

AIが今後のゲーム業界をどう変えていくか

いままで紹介したようにAIによってさまざまなゲームが進化を遂げてきました。そして今OpenAIや生成AIの登場によってAIの出来ることが幅広くなった今、今後のゲーム業界がAIを用いてどのように発展していくのか考えていこう。

ゲームを作るAI

まずゲームを製作するのに大人数で使用することはなくなり、素人が集まってもゲームを作ることが可能になると考えられます。

画像生成AIの登場によって、ゲームで用いられる背景やキャラクターのデザインなどはAIが行い少々の手直しを人間が行う。生成AIが絵を角速度は数十秒とかなので、時間がとても短縮します。

実際にsteamで配信されている「Traveler The AI Story」ではキャラデザインや使われている背景などは全てAIが生成したものです。

これらの画像は全てAIが生成したもの

画像生成AIについて詳しく知りたい方は当サイトの記事をご覧ください!

Stable Diffusion3の概要(精通者向け)

またデザインだけでなくゲームを動かすプログラムも専門のゲームクリエイターがいなくてもAIがコードを作成してくれるため、ある程度の知識でゲームを作ることができます。

ゲームを管理するAI

最初のCOMで説明したようにゲームを作った後は、プログラム内のバグ(エラーや不具合)を見つけて修正するデバックが必要になります。

この作業は言うならばしらみつぶしであり終わりの見えない作業で大変ですが時間をかければかけるほどより品質の高いゲームが作れます。

このデバックにもAIを使えばそれに使う労力と時間を割くことが出来るのではないかと考えます。MinecraftをプレイするAIがいるようにAIが実際にプレイをしてバグを見つける、バグを修正するためのプログラムを作成する。などの作業も可能であるため、効率よく労力をかけないでデバックが出来ます。

これらのメリットによって、AIはゲーム開発のプロセスを大きく変革し、より効率的で創造的な開発を可能にしてプレイヤーに新たな体験をもたらしてくれると編集者は考えます。